トヨタ生産方式(TPS:Toyota Production System)

「モノづくり大国」日本で生まれた生産方式

1960年代、トヨタ自動車がTPS(トヨタ生産方式)によって低価格で高品質な自動車を大量に生産し、米国へ輸出するようになると、それが米国の自動車産業に多大なインパクトを与えました。
”なぜこれほどまでに高品質かつ低価格を追求することができるのか・・・”と、そのカラクリに興味を持ったマサチューセッツ工科大学(MIT)のジェームズ・P・ウォマックとダニエル・T・ジョーンズは、TPSの研究を進め、「リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える」という著書でその内容を発表します。
これほどまでに世界に影響を与えたTPSとは、どのようなものなのでしょうか。

TPSの原点

 TPSに「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」という有名な二本柱がありますが、ジャスト・イン・タイムの考え方は、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏(トヨタグループの発祥、豊田自動織機の創業者である豊田佐吉氏の長男)により考案されました。

20世紀初頭、米国ではT型フォードに代表される大量生産の時代が幕を明け、コンベアラインによる流れ分業方式である「ライン生産方式」が発展しました。しかし、日本では市場規模も小さかったため、同じような方式では到底米国には追いつけないことは明白でした。米国との差やコスト高になってしまう原因を徹底的に研究した結果、ジャスト・イン・タイムで生産することが日本が生き残る道であることを見つけ出しました。

自働化は、豊田喜一郎氏の父である豊田佐吉氏(日本を代表する発明家でトヨタグループの創始者)により考案されました。その代表的な発明品が、1924年に発明された「G型自動織機」です。この発明では、糸が切れたら自動的に機械が止まる(=異常を検知する)ため、糸が切れたことを監視する人が不要になり、大きな生産性向上に繋がりました。センサーというものがない時代に異常を検知する画期的な大発明が、トヨタが織機産業から自動産業へ事業をモデルチェンジするための資金を生み出したのです。”異常で止まる”というニンベンの付いた自働化は、この「G型自動織機」に起源があります。

そして、大野耐一氏によりこの2つの思想を体系化し誕生したのが、TPS(Toyota Production System)です。生産ラインのムダを徹底的に排除するために確立した生産方式として、後に世界に大きな衝撃を与えました。大野耐一氏はトヨタ自動車の副社長にまでなった人物です。現在では、TPS は生産現場だけでなく、生産・物流、販売、製品開発、管理間接部門へと適用され、トヨタウェイの具体的展開における経営哲学および方法論となっています。

TPSの基本思想

トヨタのルーツが織機であることは有名な話かもしれませんが、「G型自動織機」が発明される前にも、豊田佐吉氏によって発明された織機はありました。そのきっかけは、機織りをしている母の仕事を”楽にさせてあげたい”という想いから発明した、片手でも操作できる画期的な織機でした。そうした「人の仕事を楽にしたい」というモノづくりの思想が生産性向上に繋がり、TPSの基本思想にも反映されています。

TPSの基本思想
「徹底的なムダ排除により生産品質や効率を上げ、原価低減を実現する」

TPSの思想

原価主義より原価低減

利益創出には、原価に適正な利潤を加えて売値を決める方法(原価主義)と市場の相場で決まる売値から原価を差し引いた分が利潤になるという考え方(原価低減)があります。
トヨタでは「原価主義より原価低減」という考え方があり、「原価に適正利潤を上乗せして販売価格を決める」のではなく、「販売価格は、市場すなわちお客様が決める」という大前提のもとで自分達にできることは「原価を下げること」という考え方です。

原価主義

原価低減

TPSでは、お客様(=買い手)に対するムダを徹底的に排除することで原価低減を実現し、売上と利益を同時に確保しています。

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